八幡平温泉郷賑わい創出のための中心地形成事業について

八幡平温泉郷の課題

高度成長期時代、地域の新産業としてのリゾート開発により造成された八幡平温泉郷。

かつては、夏は釣り堀やコテージ、ゴルフ場、冬は温泉やスキー場宿泊客の滞在と、四季を通じて賑わう北東北有数のリゾート地でしたが、バブル崩壊・スキーブーム終焉で、徐々に客足が減少していきました。さらに岩手山火山活動等で個人旅行者の足が遠のくと、安価な団体ツアーが席巻し、地域で観光客の姿が見えなくなっていきました。

この八幡平温泉郷には、大型ホテル、地元経営の温泉旅館、ペンション、ゲストハウス、別荘や保養所など多様な宿泊形態が存在していますが、観光客のまち歩きの減少により、かつての並木新町商店街は消滅し、シャッター街となっています。

飲食においては、宿泊者や長期滞在者が気軽に楽しめる外部施設が少ないため、観光客の回遊する姿はほとんど見られません。大自然の癒しのなかで楽しむランチやカフェの場所が意外に少なく、外国人観光客への満足度調査でも、ナイトタイムの満足度が非常に低いことが問題となっています。またペンション事業者の高齢化に伴い、(株)八幡平DMOには、泊食分離の機能を求める声が多数集まっていました。

当地域を取り巻くインバウンド状況としては、(株)八幡平DMOの誘客プロモーションも影響し、八幡平のパウダースノーが日本有数の雪質であることが世界に認知され始めたことや、近年の暖冬でも十分な積雪量で極上のパウダースノーを楽しめることから、地域の外国人客観光客は増加傾向にありました。新型コロナウィルスの影響が出始める直前まで、外国人客観光客が増えたことを宿泊事業者、スキー場関係者は実感し始めていたのです。

本事業で実施すること

本事業では、地域のにぎわい創出のため、国内外のゲストに対して、地域食材を提供する「カフェレストラン」と「ショップ」、「キッチンスタジオ」の複合施設を建設します。

また、夏は国立公園を生かしたトレッキングなどのコンテンツ紹介・体験予約、近隣地域の飲食店や観光スポット等、八幡平を楽しむ選択肢が広がる「観光案内所」機能を提供いたします。

さらに新型コロナの影響で新しい生活様式が生まれ、今後増加が見込まれるリモートワークやワーケーション等域外からの中長期滞在需要に対応する「快適なワーキングスペース」の提供、一般顧客や別荘等を一棟借りされるお客様等を見据えた「テイクアウト・ケータリングサービス」等の提供など、ポストコロナを見据えた観光の在り方を念頭に、地域一体となった滞在満足度向上を目指します。

加えて、国際的なマウンテンリゾートを目指して、ベジタリアンやビーガンなど、多様化する食のニーズにも対応する予定です。併設予定の「キッチンスタジオ」は、中長期滞在者向けのキッチンとして用意するなど、こちらも食や滞在スタイルの多様化に対応する施設となっています。

次のステップでは、八幡平版「アルベルゴディフーゾ」(水平分散型ホテル)の実現を目指します。「アルベルゴ(宿)ディフーゾ(分散している)」とは、地域の空き家を活用し、地域一帯をホテルと見なす、イタリア発祥の取り組みです。具体的には、当施設のフロントが地域に点在する宿泊施設のフロント機能を集約させ、地域内のペンション等の空室や空き家を当施設が管理し、宿泊予約やレセプション機能、体験受付等、八幡平版「アルベルゴディフーゾ」の中心施設として、地域の事業者とともに宿泊客数増を目指します。

我々が目指す地域の将来像

このエリアに「人の移動」が見えるようになると、新たなカフェや居酒屋など、地域への投融資を誘致しやすくなると考えています。また中心地に飲食施設があることで、素泊まりのゲストハウスや空きペンションの一棟貸しなど、新しい宿泊形態が開業しやすくなると期待されます。

当事業による施設建設は、これから始まる八幡平温泉郷のネクストステージへの第一歩です。地域と一体となって八幡平温泉郷に新たなまちが復活し、八幡平温泉郷が次の世代へと引き継がれていき、さらには地域への投資が集まることで、地域が持続的な経済活性化へ向かっていく未来を、我々は大きく描いています。